CFP試験の難易度は 前半・後半6課目を徹底レビュー

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ファイナンシャルプランナーの上位資格であるCFP試験はどれぐらい難しいのでしょう。2週にわたって行われる試験課目6課目の特徴を難易度つきで徹底解説します。

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目次

前半3課目

まずは初日(1週目)に行われる3課目を解説します。

金融資産運用設計 ☆☆☆☆☆

Kho
Kho

ぶっちぎりで難しかったです!

2日間にわたる試験の1日目の最初に登場する課目です。本番では緊張しながら問題の冊子を開き、「む、難しすぎる…」とうろたえた覚えがあります。

CFPは絶対評価ではなく相対評価なので、過去問より難しいと感じればおそらく合格ラインも下がります。といっても、試験中には合格ラインは分かりませんし、解けない問題が何問もあると「あんなに勉強したのに…」と自信を失います。

ということで、個人的な難易度は5段階評価の5、☆五つで6課目で最難関の評価です。

難しさの理由は主に2つあります。

金融が難しいと感じる2つの理由
  • 金融機関で働いていない人にとってはなじみのない用語や計算が多い
  • 標準偏差や分散など忘れかけていた高校時代の数学の知識が必要になる

一つ目のなじみのない用語で、私が苦戦したのは債権のデュレーションスポット・レートフォワード・レートの計算でした。デュレーションには二つの意味があるのですが、試験でよく問われるのは「債権への投資額を何年で回収できるか」という平均回収期間です。スポット・レートやフォワード・レートは債権の利回りのことです。

株式や投資信託、外国為替、先物取引の計算も簡単とは言えませんが、債券よりは分かりやすい印象でした。

二つ目の標準偏差分散などは、ポートフォリオ理論の学習で登場します。これは高校時代に数学が得意だった人にとってはそれほどハードルは高くないかもしれません。私は「そう言えば習ったな」という程度だったので、思い出すのに時間がかかりました。

計算問題は無理やり手順を覚え込んでも、少し聞き方を変えられただけで手が出なくなります。根本的な理屈から理解していないと応用がきかないのです。このため、GDPや国際収支、預貯金や個人型確定拠出年金(iDeCo)やNISAなど、覚えれば解ける問題でいかに失点を減らせるかが合否のポイントになると思います。

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不動産運用設計 ☆☆☆☆

Kho
Kho

とにかく計算に時間がかかります。

試験1日目の2番手。金融で打ちのめされたところに、追い打ちをかけるように登場するのが不動産運用設計です。

この課目の特徴は、とにかく計算に時間がかかること。いかに効率よく、短時間で計算問題を終えられるかにかかっていると言っても過言ではありません。そのためには、急がば回れのようですが「電卓の使い方をマスター 計算速度アップでCFP試験に合格」で書いた電卓操作に習熟することが近道です。

試験ごとに多少の違いはありますが、おおむね以下のような計算問題が出ます。

不動産運用設計で出る主な計算問題
  • 資産家が遊休地を活用して新築マンションを建てる想定で収益性を考える
  • 中古の1棟マンション投資の収益性を検討する
  • 区分所有投資の収益性を検討する
  • 類似の取引事例などをもとに土地や建物の適正価格を求める
  • 容積率や建蔽率をもとに建築可能な面積を算出する
  • 底地の所有権と借地権などを交換する際の適正な引き渡し面積を求める
  • 等価交換方式によるマンション建設で、出資割合や取得面積を求める

ざっと見て分かるように、不動産の運用に関する計算問題が多く出ます。試験の課目名が「不動産」ではなく「不動産運用」であることをよく表しています。副業で不動産運用をしている人にとっては、とっつきやすいのではないでしょうか。

私は以前に宅地建物取引士に合格しているので、この課目は大丈夫だろうと甘く見て後回しにしていました。けれど、過去問をやってみたところ、宅建士の試験で覚えた知識だけでは太刀打ちできないと分かり、かなり慌てました。

幸いなことに、これまでのところは計算問題の出題傾向は毎回、ほぼ同じなので、過去問を想定時間内で確実に解けるようになれば本番も対応できます。たまに少ひねった問題も出ますが、これはほかの受験生もあまりできないはずなので、分からなくても落ち込むことはないと思います。

ポイントは、それぞれの問題はどのような手順で解くか、計算過程や途中段階の数字はどこにどのようにメモするか、まで考えておくことです。私は過去問の演習では用紙の裏紙に必要なだけ書き散らしていたのですが、本番では余白が少なくて苦労しました。

本番の問題はA4判の見開きなので、できれば過去問をこのサイズでコピーして、どこに数字をメモすれば見落としがないかも考えてシミュレーションしておくと、本番で戸惑わずにすみます。


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ライフプランニング・リタイアメントプランニング ☆☆☆☆

Kho
Kho

この課目は時間がかかる計算問題が出ます。

初日の3番手で午後3時半スタートです。一気に3課目を受けると、朝9時半の開始からすでに6時間が経っていて、相当ボーっとしてきていると思います。休憩時間はもぐもぐタイムにして、チョコレートなどを食べて脳に栄養を補給しましょう。

ライフの評価は5段階の☆四つで不動産と同格にしましたが、SNSなどでは不動産よりライフのほうが難しいという声もちらほらと見かけます。

難しさの理由はこれも2つあります。

ライフが難しい2つの理由
  • 計算量が多くて時間がかかる計算問題が複数出題される
  • 覚える範囲が広いので、どれだけ勉強しても漏れが出る

計算はたとえば、給与収入や基本生活費など支出について将来の見込み額を計算し、キャッシュフロー表を埋めて5年後や10年後の年間収支を計算する問題が出ます。終価係数や資本回収係数など六つの係数を駆使して、一定の条件で毎年の積み立て額を計算するという問題も出ます。

金融のように平方根や3乗根などを使った複雑な計算は必要ないのですが、計算量が多いので不動産と同様に計算の手順やメモの仕方を詰めておく必要があります。

キャッシュフロー表の問題で計算時間を短縮する方法については「AFPからCFP®へ 合格のカギは電卓操作にあり」に書きましたのでお読みください。

覚える範囲は社会保険全般や教育費と奨学金、住宅ローンやカードローンなど多岐にわたります。とはいえ、金融のようになじみのない用語はほとんど出てこないので、私はとっつきやすいと感じました。まとめて覚えようとするとどれも中途半端になるので、雇用保険の教育訓練給付は大丈夫、健康保険の傷病手当金は覚えた、というように、細かく区切ってつぶしていったほうがいいと思います。

大物の年金も障害年金や遺族年金もあってまとめて覚えると混乱してきます。年金の種類ごとに過去問演習によるアウトプットと記憶の定着を繰り返したほうが、しっかりと覚えられます。


CFP資格標準テキスト ライフプランニング・リタイアメントプランニング


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後半3課目

続いて、試験2日目(2週目)に行われる3課目を解説します。

リスクと保険 ☆☆

Kho
Kho

過去問演習の得点が最も安定していました。

6課目で最も学習しやすい課目でした。保険業界で働いた経験がない私がそう感じたのですから、関連業界で働く人にとっては難易度は低めなのではないでしょうか。

学習しやすい理由は以下の2つです。

リスクと保険が学習しやすい理由
  • 数学的素養がなくても解答の数字を導ける問題が多い
  • 金融や不動産のように時事問題に多くの時間を割かなくて済む

1点目の数学的素養がなくても解答が導けるというのは少し言い過ぎかもしれませんが、たとえば金融なら標準偏差や分散、ライフなら累乗の知識が必要な問題が出ます。

対してリスクと保険は、一定の状況になったときに受け取れる保険金の額を求める問題などが多く出ます。保険契約や提案の内容と、設問で示されたけがや病気の状況を突き合わせ、該当する項目ごとに支払われる保険金額を足していけば答えにたどり着けます。国語の読解力で正解を導けるのです。

日本語の文章より数式のほうが理解しやすいという人もいるでしょう。そうした意味では、万人に当てはまるわけではないでしょうが、多くの人にとっては、日本語を読み解けばいいリスクと保険の問題のほうが解きやすいと感じるのではないでしょうか。

金融や不動産のように多くの時事問題が出ないのも、学習時間や精神的な負担を減らすことにつながります。

金融なら、日銀短観や経済・物価情勢の展望、金融システムレポートなど金融や経済をめぐる問題が何問も出るので、直近の資料を探してひと通り目を通しておく必要があります。同様に不動産なら地価公示や土地白書などから複数の問題が出ます。ライフも消費者保護や高齢者をめぐる動きへの目配りが必要です。

時事問題はいくら時間を割いても完璧ということはありません。当日、会場で試験問題を開いてみるまではドキドキが続くので、精神的にも負担です。

リスクと保険では、上記3課目のように時事問題に多くの時間を割かなくても対応できます。業界の動向や関連法規への目配りは必要ですが、初日の3課目に比べれば負担感は小さいと思います。

この課目は、保険を名義変更する際の税務上の取り扱いなど、ほかの課目に関連する問題が多く出るという特徴もあります。このため、難易度が低いからと最初に勉強するよりは、タックスなど関連課目を押さえてからのほうが学習が早く進みます


CFP資格標準テキスト リスクと保険


CFP受験対策精選過去問題集 リスクと保険

タックスプランニング ☆☆☆

Kho
Kho

最優先で勉強したい課目です。

難易度は5段階評価の3とちょうど真ん中ですが、ほかの5課目の基礎になるという点では、最重要と言っても差し支えないでしょう。合格者の間でも、この課目から勉強すべきだと言う声は多くあります。

課目の最大の特徴は、毎年の税制改正によって正解が変わってくるという点にあります。ほかの課目でも同様のことは起きるのですが、税制改正は年中行事なので、より頻繁に影響を受けます。

CFP試験は6月と11月の年2回あります。このうち6月はその年の1月1日時点で施行されている法令、11月は4月1日時点で施行されている法令が基準になります。このため、不合格→次の試験で再挑戦という場合に、税制改正で正解が変わっている、ということも起こり得ます。

たとえば、所得税の基礎控除のうち本人控除は、2019年分までは一律で38万円でしたが、2020年からは納税者の所得区分によって0円~48万円の4段階になりました。関係する問題を以前の知識で解答すると、不正解になったり、選択肢のなかに一致する答えがなくて慌てたりすることになります。

そこで、タックスの学習では最初に、税制改正の項目を押さえておくと効率的です。春と秋に新聞各紙やニュースサイトに掲載される「きょうからこう変わる」といったまとめ記事などを手がかりに、国税庁のウェブサイトなどものぞいて関係しそうな改正をチェックしましょう。

過去問を解くときにも注意が必要です。

市販の問題集は最新の法令に合わせて答えや解説を修正してくれているので安心なのですが、ウェブサイトなどから過去問をダウンロードした場合は、模範解答が当時としては正解だが、いまなら不正解ということがあり得ます。答えを鵜呑みにすると間違ったことを覚えてしまう可能性があるので、「この部分はその後に変わっている」という知識が欠かせません。

学習の手順としては、10種類ある所得税の全体像を頭に入れたうえで、それぞれの税目の細かな点に入っていくのがいいと思います。前半日程のライフでは項目→全体が効率的と書きましたが、タックスはその逆のほうがベターです。

なぜなら、総合課税か分離課税か、青色申告が可能か、総所得の算出で×1/2できるかなど、同じ要素で横串を刺して複数の税目をくくれるので、まとめて覚えたほうが頭に入りやすいからです。タックスの問題では、給与や事業、不動産、譲渡など複数の所得があった人の例が出題され、〇〇は青色申告可、△△は分離課税、などと仕分けして計算していく必要があります。このため、全体の見取り図やグループ分けが頭に入ってないと、なかなか正解にたどり着けません。


CFP資格標準テキスト タックスプランニング


CFP受験対策精選過去問題集 タックスプランニング

相続・事業承継設計 ☆☆☆

Kho
Kho

最後まで苦手意識がぬぐえませんでした。

相続の制度は頻繁には変わらないので、過去問の演習でほぼ対応できます。この点はタックスとの大きな違いです。

ですので、さほど難しくないなずなのですが、個人的にはあまり得意な課目ではありませんでした。

振り返って理由を考えると、まだ自分が当事者となって相続のために戸籍を集めたり金融機関とやり取りしたりといった経験がないので、実感を持ちにくかったことが原因ではないかと思います。家族の相続を経験している人は、そのときの記憶を踏まえて「これはこういう意味だったのか」と確認しながら学習を進められるのではないでしょうか。

課目名にあるように、相続だけではなく事業承継も一定のボリュームで問われます。こちらは自身の経験とはさらにかけ離れていたので、より一層の苦手意識がありました。

たとえば、ある会社が同族会社に該当するか否か、非上場会社の株式評価額はいくらになるか、評価額を引き下げるにはどのような対策が有効か、といった内容です。

FPの実務では中小企業の経営者や自営業者の相談を受けることもあるので、このあたりの知識も欠かせません。金融機関で働いている人にとっては業務との親和性が高く、なじみのある分野なのでしょうね。

全般的には、細部まで覚えていないと対応できない問題が多い印象でした。

たとえば、法定相続分を計算する問題では、被相続人が何人も養子をとっていたり、相続放棄者や死亡者が何人もいたり、とてもフクザツな一族が登場します。

これも一例ですが、延納と物納では、適用条件や対象となる財産などの細かな知識が問われます。国税庁の統計では、延納は年1000件ほどの申請があるものの、物納は60件ほどにとどまります。不要とは言いませんが、細かな知識を覚えても役立つ機会は限られるのではないかと感じ、身が入りませんでした。

まあ、延納と物納は1問出るかどうかです。それなら最初から捨ててしまえばいいではないか、と言われるかもしれません。効率性という観点からはそれもありですが、こと試験対策となると1点でも多くほしいので、なかなか思い切れませんでした。

タックスだけではなく、不動産と関連する問題が多く出るのも特徴です。相続財産で不動産は大きなウエイトを占めるので、先ほどの物納と違って、このあたりの問題が多く出るのは当然すぎるほど当然だと思います。

株式など金融に関する一定の知識も必要なので、関連するほかの課目の学習を終えた後で取り組むのがいいのではないでしょうか。


CFP資格標準テキスト 相続・事業承継設計


CFP受験対策精選過去問題集 相続・事業承継

効率的な学習の順序は

合格絵馬

個別の課目でも触れてきましたが、改めて効率的な学習の順序もまとめます。

働いている業界によっても変わってくると思うので、私個人の見解ということで参考程度にお読みください。

ほかの課目との関連度から考えると、最優先はタックスです。次いで金融と不動産、ライフを学習します。そのうえで、ほかの課目の知識が求められる相続とリスクに進みます。

数回の試験に分けて課目合格を重ねていくつもりなら、負担の重い金融、不動産、ライフと、少し負担が軽いリスク、タックス、相続をどう組み合わせるかを考えるといいのではないでしょうか。

たとえば、1年かけて3課目×2回の試験で合格を目指すなら、1回目は最も負担が重い金融と、不動産またはライフを選択し、2週目はほかとの関連度が高いタックスを選びます。1回目に金融を選択するのは、難易度が高く残すと憂鬱な気持ちになりそうだからです。

同様に1年販かけて2課目×3回での合格を目指すなら、1回目は金融とタックス、2回目は不動産(またはライフ)と相続、3回目はライフ(または不動産)とリスクといった感じにすれば、毎回の負荷が均等になります。

毎回、2週にわたって試験を受けるのはつらいという場合は、負担は偏りますし、関連度の点でも微妙ですが、初回は1日目の課目を集中的に攻略し、2回目は2日目に集中するという判断もあり得ます。

時間があるなら6課目合格を目指し、残ったら次回にチャレンジというぐらいの気持ちで一気に勉強してしまうほうが忘れないと思います。といっても、CFPの勉強はかなり大変なので、社会人が一気にというのはなかなかつらいところではあります。合格までの学習法については、「【合格体験記】CFPに独学で受かる学習法は」でまとめています。

CFPの合格までの道のりは、中期~長期になる可能性があります。あまり無理せず、途中でイヤにならないペースで計画的に進めましょう。

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