ファイナンシャルプランナー(FP)の2級や1級の受検には実務経験の要件があります。けれど、金融機関などで働いたことがなくてもFP1級を取得する道があります。まったくの初心者が1級に合格するためのルートと費用を解説します。
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目次
実務経験なしでFP1級を目指すルート
FP3級、2級、1級の検定試験(いずれも学科と実技試験)は、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)と金融財政事情研究会(きんざい)が実施しています。ただし、1級の学科は、きんざいだけが実施しています。
実務経験なしでFP1級に到達する推奨ルートは1~6の順になります。
入り口となるのはFP3級です。日本FP協会、きんざいのどちらで受けても問題ないのですが、私がたどったFP協会ルートに沿って説明していきます。
3級→2級
3級の受検資格は「FP業務に従事している者または従事しようとしている者」とあるだけで、誰でも受けることができます。
一方、FP2級は以下のいずれかを満たす必要があります。
1)日本FP協会認定のAFP認定研修を修了した者(修了証明書の保持者)
2)3級FP技能検定の合格者、金融渉外技能審査3級(旧審査試験)の合格者
3)FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
このうち1は、AFP(日本FP協会が認定するFP2級相当の資格)の認定研修を終えてAFPになった後で、2級を受けるというルートです。
これだけを見ると、最終的に1級を目指すなら2級→AFPでも、AFP→2級でもいいように思いますが、AFP→2級は認定研修の費用が高くなってしまうのでおすすめしません。費用については後で詳しくご説明します。
初心者は3の条件を満たすことはできないので、2の3級合格→2級合格が推奨ルートになります。
なお、2級の勉強法は「FP2級は難しい? 独学の勉強法なら過去問サンドイッチがオススメ」をご参照ください。
AFP認定研修→登録
2級に合格したら、AFPの認定研修を受講します。様々な団体が実施していて、価格も1万円以下から2万円を超えるものまであります。
オンラインの講義などを受講し、最終的には相談事例に沿って提案書を作る課題に合格する必要があります。単純に知識を問う試験ではなく、作成した提案書に沿って事例の問題点を見つけ、改善の提案をする実践的な内容です。詳しい内容については、「AFP認定研修の内容は? 提案書作成の課題を楽しもう」という記事にまとめています。
私が選んだのは、アーティスソリューションズという会社の研修です。受講料は税込み8800円。支障なくスムーズに学習を進めることができました。
以下のバナーをリンクしていただくと分かるのですが、アーティスのAFP認定研修には「基本課程」と「技能士課程」という2種類があります。このうち基本課程は2級に合格していない人向け、技能士課程は2級合格者向けで価格が大きく違います。おすすめしている2級合格→AFPルートは、技能士課程を申し込むことになります。
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AFPの試験に合格すると、受講先(私の場合ならアーティス)から、「AFP認定研修終了証明書」が届きます。2級合格+AFPの研修修了がそろうと、日本FP協会にAFPの登録を申請できるようになります。登録の期限は研修修了の翌々年度末までです。
CFP合格(6課目)
AFPとして登録すると、次はCFP(日本FP協会が認定するFP1級相当の資格)の受験です。1級を目指すうえでの最難関が、このCFP試験です。
6課目に合格する必要があるのですが、救いは課目合格が認められていることです。課目合格には有効期限もないので、数年かけて1課目や2課目ずつの合格を積み重ねることもできます。
個人的な体感ベースですが、課目ごとの難易度は大きく違います。課目ごとの難易度や勉強法は「CFP試験の難易度は 前半・後半6課目を徹底レビュー」「電卓の使い方をマスター 計算速度アップでCFP試験に合格」「【合格体験記】CFPに独学で受かる学習法は」という3本にまとめています。
CFPに合格すると、ようやくFP1級を受検できるようになります。
FP1級
FP1級は3級や2級と同じく、学科と実技試験に分かれています。このうち実技試験を受けるには以下の条件のいずれかを満たす必要があります。
1)1級学科試験に合格
2)「FP養成コース」修了者でFP業務に関する実務経験1年以上
3)日本FP協会のCFP認定者
4)日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者
CFP試験に合格したことで、CFP認定者(FP協会にCFPとして登録した人)もしくは合格者という要件を満たすことになり、実技試験を受けられます。
なぜ1級学科試験に合格というルートではなく、AFP→CFPというルートをたどるかというと、1級の学科試験を受けるためには「FP2級合格+FP業務に関する1年以上の実務経験」「FP業務に関する5年以上の実務経験」など、いずれも実務経験が求められるからです。
さて、1級の実技試験です。これは、きんざいは複数の試験官との対面の口述試験、日本FP協会は筆記と実施方式がまったく違います。
FP協会の筆記には、これまでの試験にはなかった300字程度の論述問題があり、ここはそれなりの対策が必要です。ほかの記述問題はCFP試験に合格した人であれば問題なく解けるレベルです。最大の敵は忘却で、CFP合格→FP1級はなるべく早く受けないと知識が抜けていってしまいます。
費用はいくらかかる?
次に費用についてご説明します。
推奨ルートで1級合格までに必要な受験料や登録料は以下の通りです。
ざっと10万円。安くはありませんが、実務経験なしの初心者ルートで1級を目指すなら、ここは削ることができません。
なお、表のうちAFP認定研修の費用は、選ぶ講座によって変わってきます。CFPの受験料は1課目だけ受ける場合は5500円ですが、2課目目からは4400円になり、6課目だと5500円+4400円×5=27500円になります。また、1級の受検手数料は、きんざいの口述試験を受ける場合は2万8000円になります。
ほかに、テキストや問題集の費用も必要です。これは勉強法によって変わってきます。参考まで標準的だと思われる例をお示しします。
たとえば、3級は問題集なしでテキストだけで乗り切る、CFPはテキストを使わず問題主体で進めるなどすればもう少し削れるかもしれません。けれど、テキストや問題集の費用を数千円削って不合格になり、何度も受験料を払うことになれば、さらに費用がかさみます。あまりケチらないほうがいいのではないでしょうか。
独学ではなくオンラインや通学で学ぶなら、その費用も見ておく必要があります。
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3級の勉強を始めてから1級に到達するまでは、年単位の道のりになります。
腰を据えてがんばってください!
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