退職後に後悔しないために FIREまでに整えるべき5条件

手をつなぐ親子 FIREへの道

早期退職後に後悔したり、家族ともめたりしないためには、どのような条件を満たせばいいのでしょう。円満なリタイア生活を実現するために準備しておきたいことを考えてみます。

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目次

早期退職かFIREか

Kho
Kho

こんにちは。Khoです。

目標は早期退職ではなくFIREです。

早期退職をするのは簡単です。

無期雇用(いわゆる正社員)であれば、退職の自由があるので2週間前までに退職届を出せば理由を問わず退職できてしまいます。

けれど、FIREとなると、途端にハードルが高くなります。早期退職(RE=Retire Early)に加えて、経済的な自立 (FI= Financial Independence)も達成しなければならないからです。

後悔しないためには、少なくとも5つの条件を満たしておく必要があると考えています。

条件1:十分な資産

FIREするのに十分な資産とはどれほどの金額でしょう。

厚生労働省によると、2021年の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳です。100歳以上の高齢者も増えていて、こちらは22年9月15日現在で9万526人(男性1万365人、女性8万161人)います。

※平均余命はhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life20/dl/life20-02.pdf
 100歳以上人口はhttps://www.mhlw.go.jp/content/12304250/000990671.pdfを参照。

この数字を見ると、平均寿命ではなく100歳まで暮らせるだけの資産がないと不安が残ります。

そのための資産額は、以下の計算で求められます。

FIREに必要な資産の総額
  • 65歳までの年間生活費×早期退職から65歳までの年齢…①
  • 65歳以降の年間生活費(現役時代の7割程度)×35年(65~100歳)…②
  • ①+②-(FIRE後~100歳までの資産運用益+年金収入)

年4%で運用すると?

【ケース1】

  • 55歳で退職し、65歳までの生活費は年480万円とする
  • 65~100歳の生活費は年336万円(480万円の7割)とする
  • 65~100歳は年168万円の年金を受け取り、336万円の一部に充てる
  • 55歳時点で用意した元本は年4%(税引き後)で運用し、生活費を取り崩していく

この場合は、退職時に必要な額はおよそ6000万円になります。

想定外の費用も発生するでしょうから、もう少し余裕をみて、6500万~7000万円は準備したいところです。

4%という利回りは、FIREを考えるときの標準的な数字です。年間生活費の25倍の資産を準備し、年4%の利回りより少ない額の生活費で過ごすことができれば、資産を減らさずにすみます。

けれど、これは海外での話。日本でコンスタントに4%の利回りを得るのはそんなに簡単ではありません。そこで、ケース2としてもう少し低い利回りも考えてみます。

年3%で運用なら?

【ケース2】

  • 退職年齢や取り崩し額はケース1と同じ
  • 運用利回りは年3%とする

この場合に必要な額はおよそ6800万円になります。

こちらも余裕をみて7500万円は準備したいところです。

Kho
Kho

金額が大きすぎるのでは?

確かに、この額を用意するのはかなり大変です。可能であれば、もう少し生活費を圧縮したいところです。家賃や通信費、水光熱費など固定費を圧縮できれば永続的に大きな効果が期待できます。私の節約については「早期退職に向け実践中 20の節約法を紹介」という記事も書きました。よろしければこちらもご覧ください。

ただし、実現できていない節約を前提に、現実とかけ離れた数字で将来を考えると破綻します。ここはがんばって、それぞれの暮らしぶりに合った額を用意するしかありません。

条件2:家族の理解と同意

家族会議

資産の準備とともに、最重要のポイントです。家族の理解を得ることなく自分だけで決めてしまうと、家族が崩壊する恐れがあります。

少なくとも以下の項目は説明し、話し合って同意を得る必要があるでしょう。

FIREする前に話し合いたい項目
  • なぜ辞めるのか(理由)
  • いつ辞めるのか(時期)
  • 生計の手段は(資産額、収入の見通し)
  • リタイア後の生活(どこで何をやるのか)

随分前のことですが、夫が定年したら離婚すると決めて、独り立ちの準備として内緒でホームヘルパーの養成研修を受けている、という女性に会ったことがあります。離婚の意思は夫には伝えていないとのことでゾッとしました。

この女性の例ではありませんが、家族の将来にかかわることを勝手に決めると、将来、相手からも予期せぬ厳しい反応が返ってきてしまうかもしれません。

条件3:やることと居場所

FIREした後は、何をして過ごしましょう? やることは決まっているでしょうか。

FIREしたからといって、社会的な活動をまったくしないと時間を持て余しそうです。NPO活動や地域の活動など、これまでの仕事とは違った集まりの場があったほうが生活に張りが出るのは間違いないでしょう。

とはいえ、定年退職した人が張り切って市民団体に参加し、周囲から煙たがられるというのはよく聞く話です。向き不向きもあるでしょうし、無理や焦りは禁物です。FIREしたのに我慢して心地良くない場所にしがみつくようだと、何のために仕事を辞めたのか分からなくなってしまいます。

「どこで」過ごすかも考えておきたいテーマです。

ずっと自宅を拠点にするのか、別の拠点を持つのかは大きな違いです。平日もずっと自宅にいると家族に煙たがられるかもしれません。

会社員を辞めて自営業を営んでいる先輩がいるのですが、自宅とは別の拠点を借りて、毎朝、そこに出かけて仕事をしているそうです。「仕事は自宅でもできるけど、決まった時間に出かけることで生活にリズムができるし、意識も切り替えられる」と言っていました。

夏休み中の子どものように好きな時間に起きる生活をするのもどうかと思いますし、一定のリズムは維持したいものです。

条件4:健康維持の取り組み

エアロバイクを漕ぐ男性

FIREを実現した人の著書やブログなどで、健康に気を使っているという記述を何度も目にしました。スポーツジムやスイミングプールに通ったり、意識的に徒歩や自転車で移動したり、健康づくりや健康の維持に時間を使っているそうです。

在宅勤務を経験して分かったのですが、通勤や社内での移動がないとまったく歩きません。会社に行けば1日1万歩はそれほど難しくないと感じていました。少し忙しいと1万7000歩ぐらいになる日もありました。

ところが、在宅を始めた当初は、1日の歩数が1000歩にも届きませんでした。500歩ということもありました。これではいけないと早朝や夜の散歩を始めたところ、同じように歩いている人、走っている人を多く見かけました。当時はジムやスイミングにも行きにくい雰囲気でしたし、人混みを避けて走るぐらいしかなかったのでしょう。

FIREで会社に行かなくなると、在宅勤務と同じ状態になります。意識的に体を動かすようにしないと危険です。ジムにするのか、スイミングか、それともランニングか。今のうちから考えて、少しずつ習慣化しておいたほうが良さそうです。

条件5:お金と社会保険の知識

豚の貯金箱

自戒を込めて書くのですが、勤め人の多くは税も社会保険も勤務先任せです。確定申告をしたことがなくて年末調整との違いが分からなかったり、高額療養費制度のことを知らず民間の医療保険で必要以上に手厚い保障をつけてしまったり、という人も珍しくありません。

けれど、FIREすると年金や健康保険、失業給付、確定申告などの手続きは原則として自身でやることになります。分からないことを気軽に聞ける総務部や労務部もないので、一つひとつ役所の窓口を調べて問い合わせるしかありません。

誰も守ってくれないため、知識が足りないと損をしてしまいます。私がファイナンシャルプランナーの勉強をしようと思ったのも、知識を補強したかったからでした。

Kho
Kho

知識は家族と自身を

守ることにつながります。

調べて考えることを楽しむ

事前に考えて準備した分だけ、FIRE後に後悔する可能性は減ります。それでも想定外の事態は起こるでしょうが、衝動的に退職届を出すよりリスクは減るはずです。

子どものころの遠足は楽しい記憶ですが、遠足そのものだけではなく、事前に調べることで期待が高まっていったように思います。

同じように、調べて考えることを楽しめれば、より良いFIREを実現できるのではないでしょうか。

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