退職後にやりたいこと 6つのキーワードでやりがいを見つける

満開の桜 FIREへの道

早期退職や定年退職した後にやりたいことが見つからないという嘆きを聞きます。退職して取り組みたいことは何でしょう?  6つのキーワードで自身の心をのぞいて、新たな楽しみややりがいを見つけてみませんか。

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目次

自由な1万時間をどう使う

Kho
Kho

こんにちは。Khoです。

退職後にやりたいことは決まっていますか?

キーワードでやりたいことを探ってみます。

1日の労働時間が8時間だとすると、年間の労働時間はおおよそ2000時間。1年早く退職すると、自由時間が2000時間増えることになります。

英国出身で、米紙ワシントン・ポストの元記者であるマルコム・グラッドウェル氏は「天才! 成功する人々の法則」(講談社)で、何かを本当に身につけられるには1万時間の練習や訓練が必要だという「1万時間の法則」を広めました。

5年早く退職すると新たに生まれる自由時間はちょうど1万時間、10年なら2万時間です。新たに物事を極めるのに十分な時間だと言えそうです。

やりたいことの探し方

問題は、生み出される自由時間を使って何をするかです。

やりたいことが決まっている人は問題ありません。けれど、ウェブサイトやSNSのつぶやきを検索してみると、「やりたいことが見つからない」「後悔している」という声があふれています。開館直後の図書館では、早歩きで新聞の閲覧コーナーに向かう年配の人たちの姿を見かけます。

やりたいことがはっきりしないまま、退職という大きな決断をするのは不安です。自分は何をやりたいのか。自分の心をのぞくために、6つのキーワードを考えてみました。

6つのキーワードでやりたいことを見つける
  1. 憧れ(子どものころにやりたかったことは)
  2. 挫折(若いころにやろうとして成就できなかったことは)
  3. 得意(これまでの仕事で得たスキルは)
  4. 苦手(本当はできたらいいとコンプレックスに感じていることは)
  5. 制約(仕事上の制約でできないことは)
  6. 岐路(いまの仕事に就かなければどうしていた?)

キーワード1:憧れ

子どものころ、どんな仕事に就きたいと思っていましたか?

化学メーカーのクラレが2022年3月に小学校を卒業した子どもに将来就きたい職業を尋ねたところ、男の子の1位はスポーツ選手(小学6年生の「将来就きたい職業」、親の「将来就かせたい職業」・男の子トピックス)、女の子の1位は漫画家・イラストレーターでした(同・女の子トピックス)。

順位男の子順位女の子
1スポーツ選手1漫画家・イラストレーター
2ゲームクリエイター2教員
3研究者3看護師
4会社員4保育士
5エンジニア5薬剤師
6ユーチューバー6芸能人・歌手・モデル
7建築家7医療関係
8教員8パティシエ・パン屋
9IT関係9医師
10医師10獣医師
10公務員11美容師
12警察官12スポーツ選手
13料理人13ペットショップ・トリマー
14消防・レスキュー隊14動物園・遊園地
14パティシエ・パン屋14会社員
16薬剤師16デザイナー
16漫画家・イラストレーター16美容関係
16運転士・運転手18司書・学芸員
19スポーツ関係18映像・アニメーション関係
20大工・職人20ユーチューバー
20経営者・実業家20バレリーナ・ダンサー

小学6年生が対象なので、思ったより現実的な職業が多く含まれている印象です。表のなかに、子どものころに就きたいと思った職業や仕事は含まれているでしょうか。

学び直して研究者を目指す、料理人や美容師を目指して専門学校に通う、なんて魅力的ですね。お年寄り向けの訪問美容師などは需要もありそうですし、何より喜んでもらえそうです。

私の幼いころの憧れは、男の子の20位にある「大工」でした。近所の建設現場で、リズミカルに釘を打ち、透き通るように薄くかんなをかける大工さんたちの姿を「かっこいいなー」と見ていました。

不器用さを自他ともに認める私でも、1万時間の訓練を積めば物置ぐらいは作れるようになるでしょうか。

キーワード2:挫折

若いころに勉強し、練習したけれど、成就できなかったことはないでしょうか。

すぐに思いつくのは、語学と資格の取得、楽器演奏、スポーツです。

挫折の典型例
  • 語学
  • 資格の取得
  • 楽器演奏
  • スポーツ

語学

英会話を身につけたようと毎日ラジオ講座を聞いていたけれど、仕事では使わないので忘れてしまったという人は多いのではないでしょうか。旅行先で聞いたフランス語やドイツ語、スペイン語、中国語などを話せるようになりたくて初心者向けの学習教材を買ってきたのに「積読」状態、という人もいるでしょう。

韓流ブームでは、女性を中心に韓国語を学ぶ人が急増しました。韓国料理店の看板やメニューを読めるようになりたくて、私も「1時間でハングルが読めるようになる本」(学研パブリッシング)という本を買ってきたのですが、いま見ると最初から3分の2ほどの場所にしおりが挟まったままでした(とても分かりやすい本だったのに挫折していて、著者のかたにはお詫びしたい気持ちです)。

時間がかかる語学の学習は、退職後にぴったりです。外食や旅行と組み合わせれば、楽しみも広がります。原書で1冊読み通すなど、高い目標を掲げてはどうでしょうか。

資格の取得

働いていると仕事を終えた後に勉強するのはかなり大変ですし、週末も毎週勉強できるとは限りません。昇格や昇進に不可欠だというならともかく、自分磨きが理由であれば、モチベーションを維持し続けるには強い意志が必要です。

退職後であれば、疲労や時間のなさといった障害が取り除かれます。記憶力は衰えているかもしれませんが、そこは学習時間でカバーです。何よりもいいのは、試験日までの学習計画をつくることで、生活のリズムができることです。

在職中に経験した職務に関連する資格を目指すのもいいですが、まったく経験したことがないジャンルに挑戦するのも面白そうです。

個人的にはキャリアコンサルタントが気になっているのですが、実務経験が足りなければ講習を受けなければならないようです。講習や実習が必要な資格は、在職中に目指すのはハードルが高いです。

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楽器演奏

ギターを弾く男性

若いころ、楽器の演奏ができるようになりたいと思いませんでしたか? 幼いころに少しだけピアノ教室に通った、ギターの練習をした、という人もいるでしょう。

私は中学生のころ、古道具屋さんで見つけたアコースティックギターを買ってきて、友だちと一緒に練習しました。中学生の小遣いで買えたので激安だったはずです。ピックや教則本も買ってきて練習していたのですが、Fのコードが難しくて挫折しました。

社会人になってからは、余興で楽器の演奏を披露したり、生演奏のピアノバーで即興でピアノを弾いたりする人の姿を見て、もっと練習しておけば良かったと残念に思ったものです。

いまもギターには憧れの気持ちがあります。ピアノにしてもそうですが、楽器は指先を使うので脳の活性化にも良さそうです。

スポーツ

若いころと比べれば体力は劣りますが、種目を選べば時間をかけて上達していくことができるでしょう。練習のための施設が空いていて、料金面でもメリットのある平日を存分に活用できるという強みもあります。

少しだけかじってやめてしまったゴルフやテニスに改めてチャレンジするのもいいですし、年齢や体力との相談になりますが、スキーやスノーボード、サーフィンやスキューバダイビングなどに取り組む手もあります。はまればスキー場や海の近くへの移住や二地域居住も、と夢が広がります。

けがをしたら元も子もありません。焦らずじっくり取り組みたいものです。健康や体力の維持にも役立つので、楽しみながらできる種目を見つけられるといいですね。

キーワード3:得意

これまでの仕事で身につけた得意ジャンルを生かせるなら、こんなにいいことはありません。

生かし方としては、以下のようなパターンが考えられます。

得意の生かし方
  • ボランティアや市民団体
  • 自治会など地域活動
  • PTAなど学校関係
  • 仕事や副業、起業

ボランティアや市民団体

電気メーカーで働いていた人が定年後、専門知識を生かしておもちゃのお医者さんをしているというニュースはよく見ます。おもちゃに限らず、家電や台所用品、家庭用品の修理や再生を請け負う人もいます。

愛着のある製品がよみがえれば、誰もが喜んでくれます。知識も生かせるし、やりがいを感じられる取り組みです。児童館や公民館で開かれることが多いので、施設の担当者に尋ねてみれば、需要の有無が分かるでしょう。

元教員が子ども向けの無料塾で教えているというケースも多くあります。子ども食堂などと連携していることも多いので、訪ねてスタッフに話を聞いてみてはどうでしょうか。

ほかにも、役所への補助金の申請手続きが分からない、書類づくりが難しいなど、悩みを抱えている団体は多くあります。探せばきっと誰かの役に立てるはずです。

自治会などの地域活動

経理の知識があれば会計を担うことができますし、企画やイベント会社での経験は自治会のイベントや祭事の段取りを組むときに役立ちます。親睦旅行がある団体なら、旅行会社での知識や経験を生かすことができるでしょう。

何より若い人が減っているので、早期退職して平日も動ける「若手」が入ってくれば、それだけで歓迎されるはずです。

一方で地域のしがらみなどもあるので、現役時代の感覚で突っ走ると浮いてしまうかもしれません。人間関係には注意が必要ですが、地域のつながりができると災害などが起きたときにも心強い支えになります。

PTAなど学校関係

三脚でカメラ撮影する男性

運動会や文化祭などの学校行事では、PTAの役員が「広報係」といった腕章をつけて子どもたちの写真を撮る姿を見かけます。趣味のカメラを生かして担当しているという人も多いようですが、放送や出版、新聞などメディア経験者であれば撮影はお手のものでしょう。

広報誌や卒業アルバムの制作では、DTPの知識を生かせるので、メディアだけでなく、印刷や広告会社の勤務経験が役立ちます。

ただし、PTAの役員が回ってくるかは子どもの年齢によりますし、毎年やるものでもないので、担当できる人は限られています。

仕事や副業、起業

ボランティアや市民団体と並んで、やりやすいのが仕事や副業、起業です。

最近ではココナラなど専門知識を売買できるウェブサービスが充実しています。どこかの会社に再就職しなくても、気軽に「得意」を仕事や副業にすることができます。「専門知識、ウェブ、販売」などと検索すれば多くのサービスが出てくるので、良さそうなサービスに登録してみましょう。

需要が多いようなら、起業してしまう手もあります。

キーワード4:苦手

プログラミングする女性

反対に、あえて苦手に取り組むことでも時間を有効に使えます。

文系人間でパソコンに苦手意識があるなら、イチから勉強し直してプログラミングの知識まで身につけてしまうというのはどうでしょう。

研究職で人前に出るのが苦手でコンプレックスを感じていたなら、話し方教室に通って自信をつけ、あえて人前で話す仕事やボランティアを目指す、というのも面白そうです。

いつか克服したいと思っていたけど、働いていたときは時間がなくてできなかったということは誰しもあるでしょう。定年後であれば、そうした課題に取り組む時間はたっぷりあります。

キーワード5:制約

仕事の制約でできなかった、禁じられていたことに本格的に取り組めば、新たな世界が開ける可能性があります。

在職中の副業については、政府が広く認める方向で後押ししています。とはいえ、業種によっては一定の制限がかけられていますし、事前の届け出が義務づけられている会社にあります。

会社に届け出てまでやるとなると、二の足を踏むという人が多いのではないでしょうか。

たとえば金融機関で働く人は、個別株の取り引きが禁じられていることが多いようです。職務での売買経験は豊富でも、自分の資金でトレードするとなると気持ちや感覚が違ってくるのではないでしょうか。

職種によっては、個人での情報発信に強い制約がかけれているケースもあります。退社後の守秘義務に反しない範囲でウェブやSNSでの発信を始めてみると、新たなコミュニティーに加われるかもしれません。

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キーワード6:岐路

就職活動のとき、いまの勤務先以外にどんな業種にエントリーして、採用試験を受けましたか?

公務員一本だったとか、銀行以外は眼中になかったという人もいるでしょう。一方で、飲食とアパレルで迷った末にアパレルに進んだとか、教員への道に後ろ髪をひかれつつ民間企業を選んだ、という経験を持つ人も少なくないはずです。

50歳や60歳の人間が未経験の金融業に正社員として入社したいと言っても難しいでしょうが、業種や職種によっては起業やアルバイト、ボランティアなどの形で、就職の岐路で断念した職業に触れることは可能です。飲食業でアルバイトをしてみるとか、無料塾で子どもたちに教えてみるといった形が考えられます。

退職したのだからもう働かないと決める必要はありません。生活の糧を得るためだけに働くとつらくなります。けれど、あり得たかもしれない別の人生をのぞいてみるために仕事をすると考えると、楽しくなってこないでしょうか。

生き直すための時間に

政府はいま、65歳定年を経て70歳まで働くことを推進しようとしています。70歳なら大学を卒業して就職してから、半世紀近くも働き続けることになります。一つの会社での在職期間としては長すぎないでしょうか。

少し早く退職することで、新たな人生、別の人生を生き直すための時間を手に入れることができます。

Kho
Kho

やりたいことを見つけて、

人生の第2ステージを謳歌しましょう!

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