早期退職や定年退職すると毎日の通勤がなくなって歩かなくなるので、運動不足や肥満が気がかりです。心身の健康を保ち、不満を防ぐにはどれぐらいの距離と時間を歩けばいいのでしょうか。
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目次
1日の歩数は?
私たちは1日にどれぐらい歩いているのでしょう?
厚生労働省が2018年11月に実施した「国民健康・栄養調査」によると、全年齢の男女を合わせた平均は6278歩、男性の平均は6793歩、女性の平均は5832歩です。
年齢別にみると、男女とも60歳代から大幅に減っています。加齢に加え、退職で通勤がなくなることも一因なのではないでしょうか。
同じ厚労省がまとめた「健康日本21」では、「身体活動量と死亡率などとの関連をみた疫学的研究の結果からは、『1日1万歩』の歩数を確保することが理想」とされていて、とくに退職世代はもう少し歩数を増やしたいところです。
1日1万歩を歩くには
健康日本21で示されたモデルの分速70m(時速4.2㎞)、歩幅70㎝で歩いた場合を考えると、10分間の歩数と歩行距離は700m、1000歩になります。
1万歩に到達するには1時間40分かけて7㎞歩かなければならず、1回で達成するのはなかなかハードです。
自宅内での移動や日中の買い物で2000~3000歩程度を稼ぐことにして、残りは朝晩に分けて歩くのが現実的ではないでしょうか。
そもそも1万歩=7㎞といういのはどれぐらいの距離感なのでしょう。
専用の歩数計やスマホアプリ、スマートウォッチなどで測るのが正確ですが、都内で暮らしている人ならJR山手線の駅間の距離が一つの目安になります。
山手線は1周34.5㎞に29駅があるので、平均は約1.2㎞です。1日7㎞ということは、5日で1周するイメージです。駅間は最長の大崎駅~品川駅は2.0㎞、最短の日暮里駅~西日暮里駅は0.5㎞とかなり差があります。都心で暮らしているなら、自宅近くの駅間の距離を事前に把握しておいて1,2駅を往復するというのも手です。通勤や通学で使っている路線に沿って歩けば、風景にもなじみがあって歩きやすいのではないでしょうか。
関西であれば大阪環状線が1周21.7㎞なので、3日で1周するイメージです。こちらの駅間も平均で約1.2㎞で山手線とほぼ同じです。
もう一つ目安になるのは不動産の広告です。
不動産の広告には、「最寄り駅から徒歩5分」といった記載があります。これは1分=80mで計算されているので、5分なら400m(80m未満は切り上げるので正確には320~400m)です。
将来の購入や住み替えを考えているなら、物件の場所を確認しつつ歩けば、このあたりは400m圏内、ここまでくると800m圏内などとイメージすれば、自宅周辺の距離感が身につきます。
ちなみに、広告に表示された時間は駅のホームではなく最寄りの出入り口までなので、複数の出入り口がある都心の駅では実際の所要時間とずれることがあります。
1日300Kcalを目指す
健康日本21では、「海外の文献から週当たり2000kcal(1日当たり約300kcal)以上のエネルギー消費に相当する身体活動が推奨されている」として、消費カロリーを基準としたウォーキングの目安も示しています。
消費カロリーは①~③の手順で求められます。
①水平歩行時の推定酸素摂取量(ml/kg/分)=3.5+0.1×歩行速度(m、分速)
②単位あたりの消費カロリー(kcal)=水平歩行時の推定酸素摂取量÷1000×5
③消費カロリー(kcal)=単位あたりの消費カロリー(kcal)×体重(kg)×歩行時間(分)
少し複雑なので、式をもとに体重60kgの人が分速70mで10分間歩いた場合の消費カロリーを求めてみます。
①3.5+0.1×70=10.5ml/kg/分
②10.5÷1000×5=0.0525kcal
③0.0525×60×10=31.5kcal
つまり、10分間の歩行でおよそ30kcalを消費することになるので、1日300kcalという目標を達成するには、距離を目安にしたときと同じく100分間=1時間40分の歩行が必要だということがわかります。
歩く速度を速めれば時間あたりの消費カロリーが増えるので、より短い時間のウォーキングで目標を達成できます。
歩く速さ(分速)と必要時間の関係をグラフにすると、以下のようになります。横軸が分速(m/分)で、グラフの数値は消費カロリーを満たすために必要な歩行時間(分)です。
1分間に160mというのは1時間に9.6㎞で本格的なランニングの速さ、130mは1時間に7.8㎞でジョギングの速さです。ウォーキングとしては、分速100m(時速6㎞)~分速120m(時速7.2㎞)程度の速さを意識するといいのではないでしょうか。
この速さであれば、74~65分の歩行で1日の目標カロリーに到達します。
服装と準備
毎日歩くのであれば、歩きやすい服装や、気候や気温の変化に備えた準備もしておきましょう。
シューズとウェアは軽さ重視で
服装選びでは、何と言ってもシューズが大切です。クッション性と足への負担を考えれば本格的なウォーキングシューズがいいのでしょうが、個人的には2000円以内で買えるワークマンのシューズもおすすめです。丈夫さや履きやすさ、滑りにくさや防水機能(メッシュの製品以外)など機能面で優れていることに加え、軽いので足が疲れないのがいいい点です。
ウェアは、本格的に運動しているふうに見られたいか、ちょっと街歩きをしている感じを装いたいかによって違ってきます。
本格的な感じであれば、専門店でランニング用として売られているももなどの筋肉をサポートしてくれる製品を選べば疲れを軽減できます。
街歩きふうであれば、シューズと同じく軽さを考えながら選ぶと疲れにくいのではないでしょうか。
持ち物は両手を空けて
持ち物でまず用意したいのは小さな水筒です。小さめのペットボトルを再利用してもいいでしょう。200~300ml程度の水を持ち歩くと、ちょっとした休憩のときに、のどの渇きを癒せます。
水筒やペットボトルを入れるバッグは、肩掛けタイプより小さなリュックやウエストバッグのほうがおすすめです。スマホや財布もポケットに押し込むより、バッグに入れたほうが歩きやすく感じると思います。
最近は温暖化の影響なのか天気が急変して、突然の雨に見舞われることも増えています。バッグのなかには小さくて軽い折り畳み傘も入れておくと安心です。急場をしのぐことが目的なので、傘も軽さ重視で選びましょう。
楽しく続ける
楽しく続けるためには、ポイントが貯まるウォーキングアプリやウォーキングゲームを使ったり、SNSやブログで報告する方法もあります。おすすめのアプリやゲームは「退職後の健康づくり 無理なく続けられる運動10選」という記事でまとめました。よろしければこちらもお読みください。
毎日歩けば街の変化に気づくことができます。同じ時間、同じ場所を歩くと、会釈を交わす程度かもしれませんが顔なじみもできてきます。
働いていたときには、自宅は寝に帰るだけの場所だったという人には、ウォーキングは自宅や地元に目を向け、地域に愛着を持つきっかけにもなります。
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