決められた期間は引き出せない代わりに、普通預金より高い利息を得られることが売りの定期預金。これから預けるのはありでしょうか、それともやめたほうがいいのでしょうか。普通預金と比較してメリットとデメリットを考えます。
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目次
魅力的だった定期預金
50代などある程度の年齢以上であれば、子どものころ定期預金や定額貯金として預けたお年玉が、成人したころには倍になっていた記憶を持つ人もいるかもしれません。
グラフは1993年以降の定期預金金利の推移です。かつての定期預金は、それなりに魅力的な金利水準でした。しかし、2008年のリーマン・ショックのころに一時持ち直したものの、後は一貫して下がり続け、最近ではX軸に張り付くようにゼロ近傍の利率が続いています。
定期預金のメリットは
定期預金の魅力はどういう点にあるのでしょう。
本来であれば、以下のようなメリットを期待できます。
定期預金の最大の魅力は、普通預金に比べて高い金利です。ところが、先ほどのグラフを見ても分かるように定期預金の金利は下がり続け、2022年10月現在のメガバンクの金利は年0.002%しかありません。1千万円を預けても税引き後の利子は年に160円で、なんだかなあという感じです。
将来の予定に合わせて預入期間を選べるという利点も本来は、短い期間や少額の預け入れよりも、長い期間で高額の預け入れのほうが金利が高くなるという仕組みとセットでした。けれど、いまは1カ月ものであっても10年ものであっても、100万円であっても1千万円であっても金利は同じ0.002%で変わりません。
メガバンクでは、普通預金の金利は0.001%なので、定期のほうがわずかに有利ではあります。といっても、1千万円を預けて税引き後の利益で80円の差しかなく、誤差の範囲といっても差し支えない額です。
元本の保証については、預金保険制度の対象になっている金融機関であれば、破綻しても元本1千万円と破綻時点までの利子が保護されて戻ってきます。ただし、1千万円という上限は口座ごとではなく、金融機関ごとです。このため同じ銀行に普通預金口座と定期預金口座を持っている場合は、普通+定期で合わせて1千万円までしか戻ってきません。同じ金融機関で普通預金と定期預金をしている人は、この点に注意が必要です。
定期預金のデメリットは
当然ながら、定期預金にはデメリットもあります。
定期預金は満期まで預けるのが原則なので、中途解約すると期限前解約の低い利率が適用されます。たとえば、定期預金の0.002%の利率が、普通預金と同じ0.001%に下がるといった具合です。
といっても、そもそもの利率が低ければ、利率が下がっても大きな違いはありません。このデメリットが影響するのは、キャンペーンで金利が0.2%になっていた定期預金に預けた場合など、もう少し高い利率が適用されていた場合です。
スーパー定期や大口定期預金などの定期預金は固定金利で、預入時の利率が満期まで適用されます。これはデフレや金利が下落する局面では安心材料になりますが、インフレや金利の上昇局面では不利に働く可能性があります。利率が上がった後でより有利な商品に預けることができたのに、定期預金で資金が拘束されているとその機会を逃してしまうからです。
金利の上昇局面に対応できる商品としては、一定期間ごとに利率が見直される変動金利定期預金があります。これから金利が上がる局面の場合は、こちらを選んだほうがいいでしょう。
3つ目のデメリットは定期預金に限った話ではなく、預金全般に共通のデメリットです。たとえば5千万円の現金資産を持っている人が、ノーリスクで普通預金や定期預金で運用するなら、1千万円単位で5行に分散して預ける必要があります。5行に口座を開くのはそれなりに手間がかかりますし、管理にも気をつける必要があります。
定期預金を選ぶ理由とは?
ここまで見てきたように、いまの社会・金融情勢では定期預金に預けるメリットはほとんどありません。それでも定期預金を選ぶとしたら、どんな理由が考えられるのでしょう。
考えてみましたが、ちょっと苦しいですね。銀行との付き合いのためという点はありそうですが、ほかは正直、こんな人がいるのだろうかという気がします。
すでに十分な資産を持っていて株式や不動産にも投資しているので、資産全体の値動きをマイルドにする分散投資のために、定期預金の形で現金を持っておくという人はいるでしょう。けれど、その場合もネット銀行を探せば有利な金利の普通預金が見つかります。ネット銀行に口座を開設して普通預金にすれば、資金の拘束なしに「安全に管理する」という効果を得ることができます。
もちろん、これからインフレが進んで金利が上がっていけば、定期預金は再び、魅力的な商品に返り咲くかもしれません。あくまで現時点では魅力が乏しいというのが結論です。
それでも元本は減らしたくないなら?
どうしても元本は減らしたくない場合は、定期預金のほかにどのような運用方法が考えられるでしょうか。
1つは普通預金で運用することです。これなら必要なときにいつでも引き出せますし、預金保険制度の対象行で1千万円以下の預入額にとどめておけば、元本を失う恐れもありません。
もう1つ考えられるのは、国債を購入することです。国債には固定金利の3年満期、5年満期と、変動金利の10年満期があります。
インフレ局面でおすすめなのは、変動金利の10年満期です。この商品は半年に1回利率が改定されるので、インフレのリスクを軽減できます。発行後1年を過ぎれば、直近2回分の利子が減額されるというペナルティーと引き換えに中途換金もできます。
国債の購入は、証券会社などで一定量を購入すればキャッシュバックされるキャンペーンをしていることがあります。まとまった額を購入するなら、キャンペーンのタイミングを狙いましょう。
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