早期退職後の社会保険 FIRE直後に配偶者の扶養に入る条件は?

タイプライターで社会保障と印字 社会保障

FIREした後は、国民年金保険料や国民健康保険料(保険税)などを自分で納めることになります。配偶者が会社員などとして働き続けている場合は、扶養に入るという選択肢も頭に浮かびますが可能なのでしょうか。条件を検討してみます。

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目次

FIRE後の国民年金保険料は年20万円

年金手帳

20歳以上60歳未満の国内居住者は、国民年金への加入が義務づけられています。会社員や公務員は第2号被保険者として、厚生年金部分と合わせて、標準報酬月額×18.3%を雇用主と折半で払っています。

たとえば標準報酬月額が30万円の会社員は、30万円×18.3%×1/2=2万7450円が給料から天引きされています。ボーナス(標準賞与額)からも同率で天引きされます。

早期退職して再就職しない場合は自営業者などと同じ第1号被保険者になり、国民年金保険料として月1万6590円(2022年度)を自分で納めることになります。

年間では19万9080円で、前納すれば少し割引になります。専業主婦・主夫など扶養する配偶者がいた場合、会社員時代は第3号被保険者(2号の扶養者)として個別の保険料負担はありませんでした。

FIRE後はその配偶者も1号になるので、先ほどの19万9080円×2人で年39万8160円の負担が新たに発生します。さらに、20歳以上の大学生の子どもがいれば、3人分で年59万7240円になります。

会社員時代は「今月も手取りが少ないな~」とボヤく程度だったのが、FIREして自分で納めるとなるとなかなかの負担感です。

健康保険は任意継続か国民健康保険を選択

健康保険証

FIRE後に自ら健康保険に加入する場合は、「任意継続」という仕組みで退職した会社の健保に入り続けるか、国民健康保険に入ることになります。

任意継続というのは、その職場で2カ月以上働いて健康保険に入っていた人が、退職から20日以内に手続きをすれば、2年間限定で引き続き同じ健康保険に入れてあげましょうという仕組みです。

保険料は本人の退職(資格喪失)時の標準報酬月額や健保組合ごとの平均額などで決まるため、働いていた企業や年収で変わります。

年金と同じく、在職中は事業主の負担分(原則は1/2)がありましたが、任意継続後は全額が自己負担になります。

企業の健保組合ではなく協会けんぽに入っていた場合は、本人の標準報酬月額と平均額(30万円)の低いほうが保険料を計算するベースになります。

つまり、30万円×都道府県ごとの保険料率(東京都なら9.81%)が任意継続後の保険料の上限ということになります。加えて、40~65歳は全国一律の介護保険料(1.64%)がかかります。

40~65歳で東京都在住の早期退職者が、協会けんぽの任意継続被保険者になったケースについて、上限の30万円で計算すると、保険料の月額は3万4350円、年額は41万2200円になります。在職中と同じく、配偶者などの扶養者も追加の負担なしで加入できます。

以前は一度入ったら、期限までに保険料を納めなかった場合などをのぞいて2年間は脱退できませんでした。しかし、2022年1月からは、2年の期間内でも本人の意思で脱退できるようになりました。

次は国民健康保険について考えます。

国民健康保険の保険料は前年の所得をもとに決まり、住んでいる自治体によって変わります。

同じく年収360万円(月30万円)で東京都世田谷区在住、40~65歳のケースを考えると、世帯主は月額2万5790円、年額は30万9482円になります。同じ世帯に収入のない配偶者がいると月額は3万1781円、さらに収入のない大学生がいると3万6390円になります。

リストラなど会社都合の退職は、最長2年にわたって、計算のもとになる給与所得を本来の3割とみなす減額措置があります。

どちらが有利かは扶養家族の有無で変わってきます。保険料は高くても、健保組合独自の上乗せ給付などを利用したいという場合もあるでしょう。

いずれにしても、FIRE直後は国民年金保険料と合わせて年50万~60万円程度は確保しておく必要があります。退職の翌年以降は収入によって変わってきます。

負担ゼロの可能性は?

会社

配偶者など第2号被保険者の扶養に入ることができれば、年金は1号ではなく3号になるので保険料は発生せず、国民健康保険料の負担もなくなります。

扶養に入る条件は、年収が130万円未満(障害者、60歳以上は180万円)でかつ、同居の場合は扶養される側の年収が扶養する側の1/2未満であることです。

ここでいう年収は、被扶養者として認定される日以降1年間の見込み額なので、FIREする前の年収は関係ありません。これから1年で受け取る給与や不動産家賃、年金や雇用保険の失業給付などの合計が130万円未満かどうかで判断されます。

どの所得をどこまで収入見込みとするかは企業の健保組合によって異なりますが、確定申告した株式の譲渡益や配当なども収入とみなされます。

たとえば、ある健保組合は、株式譲渡益を収入とみなさないのは「相続した株を一度に全て売却した時のみ」と規定。1年間で複数回売買したり、株を保有し続けている場合は、取引回数に関係なく見込み額に算入するとしています。

扶養には失業給付というハードルもあります。日額3612円以上の基本手当を受給していると、3612円×30日×12カ月=130万320円>130万円となって見込み額が130万円以上になるので、受給期間中は扶養に入ることはできません。

待期期間や給付制限期間と受給終了後はOKなのですが、退職から待期・給付制限期間の間だけ扶養に入り、受給が始まったら国民年金と国民健康保険に切り替え、終了後は再び扶養に、というのはかなり煩雑です。

そもそもFIREを目指す場合は、不動産の賃貸収入や株式の配当、副業など今後の暮らしを支える収入源を確保しているケースが多いでしょう。加えて失業給付のハードルもあります。

となると、初年度から扶養に入るという選択肢に、過度な期待を抱かないほうがいいように思います。

それよりも、今後の暮らしに必要な社会保険料を試算し、退職後に支払うことになる住民税分などと合わせて、しっかり確保しておいたほうが安心です。

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