FIREすると、多くの人が国民年金(基礎年金)の第1号被保険者になります。その際に月400円を上乗せして「付加年金」という仕組みにも入ると、将来の年金額が増えてお得です。喫茶店のコーヒー1杯分程度なので、余裕があれば利用したい制度です。
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付加年金は2年で元が取れる
付加年金は、自営業の人たちが入る国民年金の第1号被保険者だけの仕組みです。第2号被保険者である会社員や公務員は加入することができません。
月に400円の付加保険料を払えば、65歳以降の年金が年に200円増えます。増加分は200円×納付した月数なので、1年間納めると200円×12カ月で2400円増になります。
たった200円と思うかもしれませんが、年金の本体(基礎年金)と比べてみると、かなりお得なことが分かります。
国民年金の保険料は月1万6590円(2022年度)で、40年(480カ月)納めることで満額の年77万7800円(同)を受給することができます。
これは、月に1万6590円の保険料を納めれば、老齢基礎年金の受給額が月に1620円(77万7800円÷480カ月)増えるということです。保険料に対する受給率を考えてみると、1620円÷1万6590円=9.8%。その間の運用利回りを加味しなければ、およそ10年の受給で払った分以上を受け取れる計算になります。
一方、付加年金は月に400円納めると受給額が200円増えるので受給率は50%。2年の受給で元が取れてしまいます。65歳から受給を始めた人は、67歳より長生きすれば、払った分以上が戻ってくるということですね。
女性が平均寿命まで受け取れば11.5倍
勤務先の会社を45歳で早期退職した人が第1号被保険者になり、60歳まで付加年金に入ったとします。200円×12カ月×15年=3万6000円なので、年間の受給額は年3万6000円(月3000円)増えます。
厚生労働省の2020年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.64歳、女性は87.74歳です。早期退職した男性が15年にわたって付加年金を払い、65歳から81歳まで年金を受け取ったとすると、7万2000円の納付額に対し、受け取る額の累計は61万2000円で、8.5倍になります。女性が87歳まで受け取ると、累計は82万8000円で、何と11.5倍です。
本体(老齢基礎年金)よりずっと効率的に受給額を増やせるので、第1号になるのであれば付加保険料も納めない手はないと思うのですが、いかがでしょうか?
繰下げをすればさらにお得に
付加年金は年金本体と同じく、繰下げで受給額を増やすことができます。
繰下げをすると1カ月当たり0.7%増額になります。上限は75歳なので、65歳から10年間繰下げることで最大84%増えます。
といっても75歳までの繰り下げでは気が遠くなるので、5歳(60カ月)繰下げたとすると、先ほどの15年間入ったケースである年3万6000円の付加年金は、42%増えて年5万1120円(月4260円)になります。
デメリットも認識を
いいことばかりではなく、繰上げした場合も本体と同じく1カ月当たり0.4%減額されます。同じく5歳(60カ月)繰上げると、24%減で年2万7360円(月2280円)になってしまいます。
繰上げや繰下げについては、平均余命と比較して「〇歳までの繰下げが最もお得になる」という雑誌やウェブの特集記事をよく見かけます。参考になりますし、つい読んでしまうのですが、一人ひとりの健康状態や、個人型確定拠出年金(iDeCo)などほかの年金の受け取り戦略にも関係するので、鵜呑みにせず、それぞれで判断して最適解を導くしかありません。
それでも、付加年金という制度があり、繰下げで増えるということは、知っておいて損はないと思います。国民年金の保険料と同じく、付加保険料も社会保険料控除の対象で、所得から全額を控除できるので、税金の面でもメリットがあります。
ちなみに、第1号被保険者向けの上乗せには、国民年金基金という制度もあります。こちらに加入する場合は、付加年金には入ることはできません。
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